大腸がんの治療

(5)−3 化学療法 その三

大腸がん化学療法に用いる代表的な薬と治療法について

2.イリノテカン

10年ほど前から用いられ、胃がんや肺がんでも広く使用されている薬です。

大腸がんに対しては、単独あるいは、5-FU/ロイコボリンとの併用で用いられます。

併用する場合には5-FUを短時間(15分)で投与する方法(IFL療法)と、5-FUを短時間で投与した上でさらに46時間持続的に投与する方法(FOLFIRI療法)の2種類あります。

以前はIFL療法も多く用いられていましたが、副作用並びに効果の面でFOLFIRI療法のほうが優れていることがわかったため、現在ではFOLFIRI療法が多く用いられるようになってきています。

副作用としては、食欲の低下、全身倦怠感、下痢、白血球が減ったりすること、脱毛などがあります。

また投与中の発汗や腸管運動の亢進などもよくみられますが、アトロピンなどの抗コリン薬を用いるとコントロールできることが多いです。

食欲の低下に対しては、ステロイド剤や制吐剤を用いますが、コントロールが難しい場合もあります。

そのような場合には、担当医に相談しましょう。

大腸がんの治療

(5)−3 化学療法 その二

大腸がん化学療法に用いる代表的な薬と治療法について


1.5-FU(5-フルオロウラシル)+ロイコボリン

5-FUは数十年前より広く使われている薬で、胃がんや食道がんにも用いられています。

大腸がんに対しては、ロイコボリンという薬と併用されることが多いですが、最近はそれに加えてイリノテカンやオキサリプラチンとも併用されるケースも多くなってきています。

使い方は、週に1回点滴する方法や、2週間に1回持続点滴を行う方法、週に1回肝動脈へ点滴する方法など、いろいろな治療法に組み込まれて使用されています。

副作用は比較的軽微ですが、下痢や口内炎などの粘膜障害や、白血球が減ったりすること、手指の皮膚が黒くなること、食欲の低下などに注意する必要があります。

大腸がんの治療

(5)−2 化学療法 その一

根治的な手術が不可能な場合には、化学療法の適応になります。

大腸がんの場合、化学療法のみで完治することはまれですが、臓器機能が保たれている人では、化学療法を行わない場合と比較して、化学療法を行ったほうが、生存期間を延長させることがわかっています。

抗がん剤というと、副作用が強く、治療を行ったほうが命を縮めてしまうと考えてしまうかもしれませんが、最近は副作用の比較的少ない抗がん剤の開発と、副作用対策の進歩により、入院せずに外来通院で日常生活を送りながら化学療法を受けている患者さんも多くなりました。

大腸がんの化学療法は外来で行えるものも多く、副作用をコントロールしながら、がんあるいは治療と上手につき合っていくことが、一番の目標といえるでしょう。

私は、大腸がんから転移し腹膜播種になりましたが、3年前から外来で抗がん剤治療を続けています。

副作用に苦しみながらも3年たち、現状維持の状態で今までこれたのは、抗がん剤のおかげだと、しみじみ感じているところです。

大腸がんの治療

(5)-1 術後補助化学療法

手術によりがんを切除できた場合でも、リンパ節転移があった場合に、再発率が高くなることが知られています。

このような場合、手術を行った後に化学療法を行うことで、再発を予防するあるいは再発までの期間を延長できることがわかっています。

このような治療を、術後補助化学療法といいます。

一般には、術後補助化学療法の対象はリンパ節転移があるステージIII期の患者さんで、手術後に5-FU/ロイコボリン療法の6ヶ月投与が標準的に行われています。

リンパ節転移のないステージI期、ステージII期の大腸がんについて術後補助化学療法の有用性は明らかではないため、基本的には術後補助化学療法は行わず、無治療で経過観察をします。

大腸がんの治療

(5)化学療法

大腸がんの化学療法は、進行がんの手術後に再発予防を目的とした補助化学療法と、根治目的の手術が不可能な進行がんまたは再発がんに対する生存期間の延長及びQOL(生活の質)の向上を目的とした化学療法とがあります。

大腸がんに対して有効かつ現時点で国内にて承認されている抗がん剤は、フルオロウラシル(5-FU)+ロイコボリン(アイソボリン)、イリノテカン(CPT-11)、オキサリプラチン、UFT/LV、UFT、S-1などです。

大腸がんの治療

(4)放射線療法

放射線療法には、2つの療法があります。

(イ)手術が可能な場合での骨盤内からの再発の抑制、手術前の腫瘍サイズの縮小や肛門温存をはかることなどを目的とした手術に対する補助的な放射線療法。

(ロ)切除が困難な場合での骨盤内の腫瘍による痛みや出血などの症状の緩和や延命を目的とする緩和的な放射線療法。


(イー1)補助放射線療法
切除が可能な直腸がんを対象とします。

通常、高エネルギーX線を用いて、5〜6週間かけて放射線を身体の外から照射します(外部照射)。

化学療法の適応がある場合には、化学療法と併用して行われることが標準的です。

手術中に腹部の中だけに放射線を照射する術中照射という方法を用いることもあります。

我が国における専門施設では十分なリンパ節郭清により、骨盤内からの再発が少ないなど手術成績が欧米に比べ良好なことなどから、現在、我が国では補助放射線療法は欧米に比べ積極的に行われていません。


(ロー2)緩和的放射線療法
骨盤内の腫瘍による痛みや出血などの症状の緩和に放射線療法は効果的です。

全身状態や症状の程度によって、2〜4週間などの短期間で治療することもあります。

また、骨転移による痛み、脳転移による神経症状などを改善する目的でも放射線療法は一般的に行われます。


(ハ)放射線療法の副作用
放射線療法の副作用は、主には放射線が照射されている部位におこります。

そのため治療している部位により副作用は異なります。

また副作用には治療期間中のものと、治療が終了してから数ヶ月〜数年後におこりうる副作用があります。

治療期間中におこる副作用として、全身倦怠感、嘔気、嘔吐、食欲低下、下痢、肛門痛、頻尿、排尿時痛、皮膚炎、会陰部皮膚炎(粘膜炎)、白血球減少などの症状が出る可能性があります。

以上の副作用の程度には個人差があり、ほとんど副作用の出ない人も強めに副作用が出る人もいます。

症状が強い場合は症状を和らげる治療をしますが、通常、治療後2〜4週で改善します。

治療後数ヶ月してからおこりうる副作用として、出血や炎症など腸管や膀胱などに影響が出ることがあります。

大腸がんの治療

(3)腹腔鏡手術

大腸がんに対する腹腔鏡手術は1990年代前半から国内でも行われるようになり、腹腔鏡手術を施行する施設は徐々に増えてきています。

炭酸ガスで腹部を膨らませて、腹腔鏡を腹部の中に入れその画像を見ながら小さな孔から器具を入れて手術を行います。

がんを摘出するために1ヶ所、4〜8cmくらいの傷が必要です。

手術時間は開腹手術より長めですが、小さな傷口で切除が可能ですので、術後の疼痛も少なく、術後7〜8日前後で退院できるなど負担の少ない手術です。

がんが盲腸、上行結腸やS状結腸、上部直腸に位置し、内視鏡的治療が困難な大きなポリープや早期がんが腹腔鏡手術のよい対象と考えられています。

一部の専門施設ではがんが横行結腸や下行結腸、下部直腸に位置した場合や、進行がんでも腹腔鏡手術が行われています。

しかし、進行がんに対しても開腹手術と同等の安全性や治療成績が得られるのかについては今後の検討が必要です。

これまでのデータでは、十分に経験を積んだ大腸がんに対する腹腔鏡手術の専門医が担当すれば、進行がんでも腹腔鏡手術の生存率は開腹手術と同等となるのではないかと考えられています。

現在、国内では進行がんに対する腹腔鏡手術と開腹手術の臨床比較試験が実施されています。

腹腔鏡手術は近年開発された手術手技であり、特殊な技術・トレーニングを必要とし、外科医のだれもが安全に施行できるわけではありません。

現在、腹腔鏡手術の最大の問題は、どこの施設でも安全に腹腔鏡の手術が施行できるわけではないこと、すなわち大腸がんの腹腔鏡手術の専門医が限られていることです。

そのため、施設により腹腔鏡手術の対象としている患者さんが異なるのが現状で、大腸がんに対する腹腔鏡手術を導入していない施設も現時点ではたくさんあります。

腹腔鏡手術を希望する場合には専門医がいる病院を受診し、開腹手術と比較した長所、短所の説明を十分に受けて、腹腔鏡手術か開腹手術かを決定して下さい。

大腸がんの治療

(2)外科療法 そのニ 直腸がんの手術

(ニ)人工肛門

肛門に近い直腸がんや肛門にできたがんでは、人工肛門を造設する直腸切断術という手術を行わなければなりません。

また、高齢者は肛門括約筋の力が低下しており、無理して括約筋温存術を採用すれば術後の排便コントロールが難しい場合もあるので、人工肛門による排便管理を勧めています。

ビデオ、患者会(オストメイト)や専門の看護師を通し、ストーマ教育を充実させ、人工肛門管理の自立とメンタルケアに務めています。

大腸がんの治療

(2)外科療法 そのニ 直腸がんの手術

(ハ)局所切除

早期がんや大きな腺腫に採用される手術法です。

開腹手術ではなく、肛門からと仙骨近くの皮膚、直腸を切開し病変に到達する方法です。

術後に、放射線療法や化学療法を追加する場合もあります。

大腸がんの治療

(2)外科療法 そのニ 直腸がんの手術

(ロ)肛門括約筋温存術

以前は肛門に近い直腸がんの多くに人工肛門がつくられていましたが、最近では直腸がんの8割は人工肛門を避ける手術ができるようになりました。

自動吻合器という筒状の機械を使って、がんの切除後に短くなった直腸端と結腸の先端を縫合し、本来の肛門からの排便を可能にする手術法で肛門括約筋温存術と呼ばれます。

肛門から4cm以上、歯状線(肛門と直腸との境界)から2cm以上離れていれば、自然肛門を温存することが可能です。

この手術と自律神経温存術を併用すれば、術後の機能障害をかなり軽減することが可能となりました。

さらに最近では、歯状線にかかるような、より肛門に近い直腸がんであっても早期がんや一部の進行がんで肛門括約筋を部分的に切除して自然肛門を温存する術式が一部の専門施設で行われるようになってきました。

しかし、高齢者の場合、無理に肛門を残すと術後の頻便などのため逆効果になることもあります。

したがって、手術法と病期の進行度を勘案して、年齢、社会的活動力、本人や家族の希望などを考慮に入れ、総合的に術式を決定することが極めて重要となります。

私の場合も、肛門に近かったのですが、この手術法で肛門が残り助かりました。

大腸がんの治療

(2)外科療法 そのニ 直腸がんの手術

(イ)自律神経温存術

過去15年間に進歩した手術法です。

直腸がんの進行の度合いや、排尿機能と性機能を支配する自律神経繊維を手術中に確認し、必要に応じて選択的に自律神経を温存する手術法です。

我が国の大腸外科医が世界に誇れる成果です。

がんを徹底的に切除しながら、同時に進行度に応じて神経を残す方法です。

全部の神経が残せれば、手術前と同様な機能、つまり男性では射精、勃起機能を完全に温存することができます。

やや進んだがんでは、勃起機能のみを残す手術法もあります。

大腸がんの治療

(2)外科療法 そのニ 直腸がんの手術

直腸は骨盤内の深く狭いところにあり、直腸の周囲には前立腺・膀胱・子宮・卵巣などの泌尿生殖器があります。

排便、排尿、性機能など日常生活の上で極めて重要な機能は、骨盤内の自律神経という細い神経繊維によって支配されています。

進んでいない直腸がんには、自律神経をすべて完全に温存し、排尿性機能を術前同様に残すことも可能です。

しかし、自律神経の近くに進行している直腸がんでは、神経を犠牲にした確実な手術も必要となります。

直腸がん手術は、進行度に応じたさまざまな手術法があります。

代表的な手術である自律神経温存術、肛門括約筋温存術、局所切除、人工肛門について次回から載せていきます。

大腸がんの治療

(2)外科療法 その一 結腸がんの手術

大腸がんの治療は外科療法が基本で、早期がんの場合でも手術が必要になる場合があります。

結腸がんの場合、切除する結腸の量が多くても、術後の機能障害はほとんどおこりません。

リンパ節郭清(かくせい)と呼ばれるリンパ節の切除とともに結腸切除術が行われます。

大腸がんの治療

内視鏡的粘膜下層剥離術
内視鏡的粘膜下層剥離術

(1)内視鏡的治療 その三 

腫瘍が大きい場合、これまでは外科手術か内視鏡的な分割切除(病変を何回かにわけて切除する方法)が選択されていました。

しかし最近では、主に胃において行われているESD(内視鏡的粘膜下層剥離術:病変を電気メスで徐々にはぎ取る方法)を応用することにより、大きな腫瘍も一括で切除できるようになってきています。

但し、従来のEMRに比較すると高度な手技を要するため切除に多少時間がかかります。

また、切除面の傷も広くなるため、数日間の入院が必要となります。

良性の腫瘍や粘膜内にとどまる早期のがん(再発や転移の危険性がない)は内視鏡的に治癒切除することができますが、早期がんの中でもがんがより深く(粘膜筋板を越えて粘膜下層深く)進展していることが判明した場合には、リンパ節転移や再発の危険性が10%前後であるため、追加の外科手術が必要となる場合があります。

大腸がんの治療

(1)内視鏡的治療 そのニ


大腸ポリープ1

大腸ポリープ2
(図 内視鏡的粘膜切除術)

(a) 内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)

茎のあるポリープを認めた場合、スコープを通してスネアとよばれるループ状の細いワイヤー(針金)を、茎の部分に引っかけて締めて高周波電流で焼き切ります。


(b) 内視鏡的粘膜切除術(EMR)

無茎性、つまり平坦なポリープや腫瘍の場合は、ワイヤーがかかりにくいため、病変の下層部に生理食塩水などを注入して周辺の粘膜を浮き上がらせ、広い範囲の粘膜を焼き切ります。

通常、外来治療を行いますが、病変が大きい場合には短期間の入院の上内視鏡治療を行います。

大腸がんの治療

大腸がん 拡大100倍.jpg

治療法には内視鏡的治療、外科療法、放射線療法、化学療法があります。

(1)内視鏡的治療 その一

従来の内視鏡でもポリープの有無や性状は診断可能であり、必要に応じてポリープを切除しています。

最近では、ポリープの表面構造を100倍まで拡大して観察できる拡大内視鏡を用いることで、より精密な検査が可能となりました(図は100倍拡大)。

この拡大内視鏡を用いたより精度の高い診断、つまり腫瘍・非腫瘍(内視鏡切除の適応である腫瘍性ポリープと、切除する必要のないその他のポリープ)の鑑別を行っています。

また、同様に、拡大内視鏡を用いることで、内視鏡的治療で根治可能な早期がんと外科手術が必要な病変との判別も行っています。

なお、ポリープ切除に際しては、大腸粘膜には知覚神経がないため通常痛みを感じることはありません。


大腸がんの検査

その4. 画像診断(CT、MRI、超音波検査、PETなど)

これらの検査の進歩は目覚ましいものがありますが、消化管のひとつである大腸にできた病気を発見するには適していません。

大腸がんに関しては、原発巣での進みぐあいと肝臓や肺、腹膜、骨盤内の転移・再発を調べるために用いられます。

また最近、PET検査が注目されています。

骨盤CT、骨盤MRIでも判断できないような骨盤内再発の発見や腫瘍マーカーの推移などから転移・再発が疑われますが、CT、MRI、超音波検査などの通常の検査では転移・再発部位が発見できない場合にPET検査で発見される場合があります。

しかし、PETは万能の検査ではありません。

また、現時点では医療保険では適応が限られており、通常、手術前の患者さんに施行することはありません。

PET検査の必要性に関しては、担当医と十分ご相談下さい。

私の通院している松山のがんセンターには、PET検査装置がありますが、私はまだ検査したことがありません。

いまのところ、CTだけで間にあっている状態?

大腸がんの検査

その3. 腫瘍マーカー

血液の検査で、身体のどこかに潜んでいるがんを診断する方法です。

しかし、大腸がんを早期に発見できる腫瘍マーカーはまだありません。

CEAとCA19-9と呼ばれるマーカーが一般的ですが、進行大腸がんであっても約半数が陽性を示すのみです。

腫瘍マーカーは転移・再発の指標として、また治療効果の判定基準として用いられています。

しかし、転移・再発した場合でも必ずしも異常値を示すわけではなく、逆に転移・再発していない場合でも異常値を示す時もあり、経時的な測定が必要です。

私の場合は、少しずつあがり始めていて、今50です。

一時、150まであがっていたのが、抗がん剤の効果で9まで下がり、またあがり始めています。

この辺で、止まって欲しいと願っているところです。


大腸がんの検査 

4. 大腸がんの検査

その2. 大腸内視鏡検査

肛門から内視鏡を挿入して、直腸から盲腸までの全大腸を詳細に調べる検査です。

大腸内に便が残っていた場合は十分な検査ができないので、検査当日に腸管洗浄液を1〜2リットル飲み、大腸内をきれいにしてから検査を行います。

通常、検査は20分程度で終わり、多くの場合大きな苦痛もありません。

検査は、まず内視鏡を肛門から一番奥の盲腸まで挿入して、スコープを抜いてくる際に十分に観察します。

そのとき、検査を受けている人は、モニター画面を見ながら医師の説明を聞くことができます。

もし、ポリープ等の病変を認めた場合、悪性か良性かどうかを調べるために病変の一部を採取して、どういう性状の病変かを顕微鏡で調べることもあります。

また、内視鏡的に切除することも可能です。

この検査には、お医者さんの熟練した技量が必要です。

私の経験上、私の通院している松山市のがんセンターのお医者さんは上手です。

私の友人は、他の病院で検査中に大腸を破られ、緊急手術しています。

大腸がんの検査

4. 大腸がんの検査


その1. 注腸造影検査

食事制限の後、下剤で前処置を十分行います。

肛門からバリウムと空気を注入し、X線写真をとります。

この検査でがんの正確な位置や大きさ、腸の狭さの程度などがわかります。



私の経験上、一番苦しかったのを覚えています。

言われるままに、体の向きを、右、左の変えます。

その都度、肛門からバリウムと空気を入れられ、大変でした。

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